概要
1995年に登場した小田急の新形式である。この形式は1000形の改良版という名目で登場したため、車体の形状や、見た目から様々な部分で1000形と酷似しており、間違える人も多い。ただし、2000形は8両編成のみの存在であり、江ノ島線では見ることができず、本線の各駅停車を主体に運用されている。最初の3編成(2051~2053編成)は、8両編成増発対応で登場しているが、それ以降は2600形の8両編成置き換え用途で登場している。そのため、2051~2053編成と2054~の製造年に4年ほどの差がある。この形式もワイドドアを採用しているが、1000形のワイドドアよりも40mmほど狭い1600mmで、着席定員も確保されている。また、1000形での弱点を克服するかのように、時代に合わせたグラスコクピット化も図られ、保守にやさしい車両をコンセプトに登場した。ブレーキ装置は小田急初の電気指令式ブレーキである。
1000形に続き小田急では2例目のオールステンレスカーであり、1000形に準じているため、ドア、戸袋窓、側面窓のそれぞれの窓の縦の長さがすべて同じで、正面から見ると1直線にきれいに並んでいる他社でも例を見ない数少ない特徴を持つ車両である。
小田急では初めて先頭車に車いすスペースを確保した形式であり、後に更新される8000形でも車いすスペースを先頭車に設置することとなった。さらに、登場時から車体の側面に転落防止幌がついており、小田急では初となる。急行灯の設置が廃止されたのも当形式からである。また、1000形が千代田線に乗り入れしていたことから、当形式も乗り入れ対応の準備工事が施されていたが、乗り入れが実現することはなかった。
車内では案内版がドア上に設置されているが、こちらは各ドア上ではなく、1つおきの設置となっていて、ドアチャイムも鳴るようになっている。側面窓は1000形と同じ形状だが、ワイドドアであるため、横幅が狭くなっている。さらに増備途中からはUVカットガラスが採用され、緑色のガラスになっている編成もある。小さな点で1000形と違う部分がたくさんある。座席は1000形と同じ赤色を基調とした座席で、仕切り板も1000形と同様のものである。車端部の窓はスペースが確保できなかったため、戸袋窓のみを残し省略された。側面からの1000形と2000形の大きな判別点はこの点である。全編成が8両編成で9本が活躍中であり、小田急では稀少編成の部類である。編成表は以下の通りである。
機器類
1000形と同じく三菱製のVVVFを採用しているが、こちらは時代の変化に乗っているためか、IGBT素子となっている。日比谷線の03系の最終増備車(136~142)と同じ機器を搭載しており、今後のIGBT車の基本となっていくこととなる。台車は住友住金が開発したSS043、143型を履いている。こちらは小田急で初のボルスタレス台車である。パンタグラフはPT-7100型を採用しており、小田急統一である。行先表示器もフルカラーLEDとなっている。この2000形は全編成が8両であるため、箱根登山線に入線することや、他形式との増結は行われない。よって6両編成や4両編成にあった電連は装備しておらず、スカートもその部分の開口部は蓋がされている。クーラーは全編成で同じものを各号車に付き4台ずつ設置しているが、カバーでは2台で1つとなっており、見栄えは2台である(後述)。ライトは8000形と同じく、1つのケースにヘッドライトとテールライトをまとめられていて、内側がヘッドライト、外側がテールライトと他社でもよく見かけるタイプのライトである。
登場後の改造
登場以来、当面の間はロゴマークが追加された程度で、大きな改造もなくそのまま活躍していたが、近年になって設備系統に変化が見られてきた。8000形の更新が終わり1000形の更新に移ると、2000形にも設備面で改良が行われた。側面行先表示器のフルカラーLED化、帯をインペリアルブルーに変更、優先席付近の床の貼り替え、車内LED照明化が施された。このLED照明は、優先席部分だけ電球色に光るようになっていて、8000形の4両更新車のうち、8055編成以降の更新車で試験採用されたが、2000形で本格採用されたものである。さらには主電動機のソフト変更がされているが、走行音に大きな変化は特にない。2000形はこのように大きく姿は変えていないものの、細かな点で改造されながら活躍している。
編成ごとの概要
2051編成
2000形の1次車でトップナンバーであり、8両編成増発のために登場した編成。1000形の1081編成に続く2編成目の8両固定編成での製造車である。2000形では、尾灯が新しいものに交換されていない唯一の編成でもある。
2052編成
2051編成同様に、8両編成増発のために登場した。この編成は2051編成と同形態ではあるが尾灯は交換されており、明るい。1次車で唯一ライトユニットが交換されている編成である。
2053編成
2000形の2次車である。この編成も8両編成増発のために登場した編成であるが、1次車の登場から3年経っているため、少々仕様変更が施されている。この編成から、急行灯が廃止になっており、黒の遮光シールドで覆われている。
2054編成
2000形の3次車である。この編成からは2600形の8両編成の置き換えで登場することとなる。2600形の2666編成の置き換えで登場した。電装機器類は2600形から流用しているが、他編成と同様に区別はつかない。この編成は2053編成の製造から3年が経過していたため、1、2次車と設備面で少々違いがあり、側面窓のガラスが緑色のUVカットガラス化されている。これと同時にブラインドが省略されており、コスト削減を図っている(後に既存編成もガラスを交換し、ブラインドが撤去されている)。さらにクーラー部分に室外放送機を内蔵したため、クーラーカバーに穴が空いているのがわかる。車いすスペースも先頭車の車端部から乗務員室前に移動しており、後に登場や更新をする形式も全編成がこの場所に統一された。
2055編成
2000形の3次車で、2600形の2656編成の置き換えで登場した。主電動機も含め、2053編成以来の新製車である。それ以外は2054編成と同形態である。
2056編成
2000形の3次車で、2600形の2655編成の置き換えで登場した。2055編成と同形態である。
2057編成
2000形の3次車で、2600形の2654編成の置き換えで登場した。2055編成と同形態である。
2058編成
2000形の3次車で、2600形の2657編成の置き換えで登場した。2055編成と同形態である。
2059編成
2000形の3次車で、2600形の2659編成の置き換えで登場した。2055編成と同形態であるが、帯色がインペリアルブルーに変更されておらず、2000形の見た目では一番原形を保っている編成である。また、この編成をもって2000形の製造は終了となる。
おわりに
いかがでしたでしょうか。2000形は全編成が8両で運用上も新宿~本厚木の各駅停車が大半のため、急行が主流の小田急ではなかなか注目されない形式でもあります。編成数もそう多くないため影が薄い感じがしますが、3000形を出す上でのステップアップにはとても重要な形式であると考えていて、今後の小田急として活躍していくための様々な試験的要素を取り入れた重要な形式であると思います。新宿口の10両編成化が進んできていて、今後の引退の可能性が高い要注意形式でもあります。ステンレス車ですが、昔ながらの小田急伝統を引き継いだ最後の形式でもありました。ぜひみなさんも2000形に乗ったときは車内や車体を細かく見てみてください。他にも何か差が見つかると思います。