IGR7000系の解説 | エゾゼミ電車区

概要

　IGR7000系は2002年に東北新幹線が八戸まで延伸したときに青森車両センターから701系1000番台を譲渡する形で登場した電車である。2020年現在では2両編成7本が活躍している。

　現在の編成表は以下のとおりである。

※編成番号は存在しないため「-」表記としている。
※色で塗りつぶした部分はJR時代の車番である。

　いわて銀河鉄道は2002年に目時～八戸間を青い森鉄道と直通運転する形で暫定開業した。元々JR東北本線だったこともあり、車両はそのまま701系を使用することとなった。その時に新造車3編成とJRから4編成を転籍し、計7編成体制で運用が始まった。車両番号は、青い森鉄道と同様に新造車は100番台となっていて、転籍車は0番台で付番されている。開業当時からデザインは青と黄色の帯である。また、青い森鉄道とともに開業したと同時に、2社の境界駅である目時駅が無人駅になったため、目時駅を通る電車は全列車青い森鉄道に直通する。そのため、盛岡～八戸まで抜けるだけで3000円を超える高額な運賃が請求される。
　ダイヤは開業当初は1時間に1本ずつ八戸まで抜ける電車があったが、年を重ねるごとに減少していき、ついには始発から17時までの間に八戸まで行く電車は5本のみとなってしまった。
　全7編成が機器更新車である。また、100番台3編成に関しては、セミクロスシート車両である。その3編成以外は元青森車両センター所属の701系電車であるため、盛岡に転用した701系、青い森701系と性能や機器類は全く同じである。行先表示機は、LED式ではなく幕式である。この行先表示も珍しく、JRが開発した車両なのに、国鉄書体で行先が書かれている唯一の電車である。また、元青森車両であるため、100番台以外の編成の方向幕を探ると、一ノ関、北上、花巻、盛岡、蟹田、三沢シャトルなどJR時代に走行していた表示がそのまま残っている。

　JR時代の名残は、行先表示機以外にも様々な箇所で残っており(青い森車も同様)、側面の窓横にJR社紋の跡や、側面上部には紫帯の剥がした跡、前面貫通扉下の渡り板にも旧車番が書かれていたりする。また、車内の車番も上から貼り付けただけなので、うっすらと透けて見ることができる。内装デザインは椅子や床の更新を何もしていないため、JR当時の内装がそのまま残っている。ちなみに内装は、元青森車共通のため、青い森701、盛岡車の701系と同じである。
　JR時代は紫帯の701系で、現在の盛岡車の701系が元の姿である。定期運用では朝に1本だけ東北本線の北上まで直通する運用がある。その運用はIGR車が2本増結し、4両で運転する。なお、車庫は盛岡車両センター内に存在するため、東北本線とともにお互いに車両を貸し出して運用することもある。検査入場時は郡山車両センターまで自走する(検査類はJRに委託しているため自社ではできない)。路線図は以下の通りである。

　走行区間は基本的には盛岡～八戸である。当該区間の1日2往復のみ青い森車両で運行するが、それ以外はすべてIGR車での運行である。このため目時～八戸間は、青い森鉄道を名乗っているが走ってくる大半の車両はIGR車両である。また、金田一温泉～三戸間は東北本線前線を含めて一番電車本数が少ない区間である。
　有人駅は盛岡、青山、厨川、好摩、いわて沼宮内、一戸、二戸、金田一温泉のみである。また、運用上、駅構内の留置は存在しない。いわて沼宮内の始発は盛岡から回送、金田一温泉の始発は八戸から回送する。

転用後の改造など

　いわて銀河鉄道が開業して12年後の2014年には、全車両に対して、大規模機器更新が行われている。電装機器類の更新と屋根上の抵抗器を撤去、スカートの変更、シングルアームパンタグラフに交換を実施した。このようにいわて銀河鉄道になってから大規模な更新工事がされており、第三セクターとしては珍しい。この更新工事により、701系1000番台唯一のシングルアームパンタグラフ搭載車両となった。
2015年には、駅到着時に車内メロディーが流れるようになった。曲内容は以下のとおりである。

　このメロディーは、直通してくる青い森701系でも流れるようになっている。なお、日中しか流れないため、朝夜は通常のチャイムが鳴る。
　101～103編成においては、2002年に製造された。種車は701系の1500番台であるため、元々屋根上の抵抗器箱が存在しない(JR車も更新時に抵抗器箱を撤去したため現在は同じ見た目)。トイレの位置が違う。通常車は、八戸方先頭の車端部分に位置するが、これらの編成では、運転席後ろに配置されている。性能面や機器類に差はないが、JR時代の走行経歴がないため、名残というものは何もない。また、区別するために、車両番号は101から付番されている(青い森も同様)。いわて銀河鉄道には2両編成3本存在する。このタイプのみ側面行先表示機がLED式となっている。さらにこの100番台に関しては701系で唯一のUVカットガラスを採用しており、窓ガラスが緑色になっている。

おわりに

　いわて銀河鉄道は東北本線から切り離されて以来、特に多くの乗客で混雑などすることも少なく、青春18切符でも沿線に行けないことから、知名度は低くなってしまった。利用客が伸び悩んでいるせいか、盛岡駅以外に終日駅員がいる駅は存在しない。また、車両の手入れもほぼされておらず、JRからの引継ぎ以降、ほぼ原形を保っている状態である。駅でもそれは感じ取ることができ、駅名標に至っては、国鉄時代のものがそのまま残っている形となっている。同じ第三セクターの青い森鉄道とは見劣ってしまう点はあるが、不動産や沿線開発には手を入れていて、地域開発をしている唯一の第三セクターである。
　さらに、最北端の駅である金田一温泉は1年前からでも予約が殺到するほど人気の温泉で、座敷童の町として絶大なる人気がある街である。駅からも徒歩で15分ほどで駅から近いので、ぜひ行ってみることをお勧めする。東北本線では一番山が多い区間を走る電車だが、これもとても興味深い電車なので、ぜひ乗ってみてください。