小田急3000形(8両,10両)の解説

概要

 3000形の8両は2004年度増備分から登場した小田急の新型通勤電車である。基本コンセプトや構造、仕様などについては6両編成の概要欄に記載しているため、省略する。この電車の登場により、4000形の4両、9000形の4両が引退していくこととなった。3000形は大きく分けると2種類に分けることができ、1、2次車を初期車、3次車以降を後期車と分けることができる。この差は大きく、見た目から大きく印象を変えているが、8、10両編成においては3次車以降しか存在しないため、今回は初期車の記載はない。10両編成においては、一部の6両編成に中間車4両、一部の8両編成に中間車2両を新造して2010年に登場した編成である。これにより、新宿口の各駅停車の10両編成が増発された。

 3000形は現在ではみな同じ顔をしていて、同じような車内で同じような機器類を積んでいるため、飽きている人もいるが、よく見ると、長年にわたって作られたため形態が多く、また追加工事が施されて他の次車と同形態になってしまった編成など様々な種類がある。当たり前すぎてあまり注目はされないが今回は各駅停車を中心として活躍する8両と急行、快速急行を中心として活躍する10両編成を紹介する。6両編成はこちらを参照。

 新宿方面では通常からよく見られるタイプで、8両編成は主に新宿~本厚木の各駅停車、10両編成は新宿~小田原、片瀬江ノ島の優等列車で走る。この形式は、モデルとなったE231系とある程度機器類を統一していることから、ブレーキ方式は電気指令式ブレーキとなっている。箱根登山線に入線することも、他形式と連結することもないため、ブレーキ読み替え装置も最初からついていない。なお、8両編成においては、4号車と5号車の間に中間運転台が設けてあり、4両で自走できるようになっている。また、新宿方から4両目(10両編成の7号車、8両編成の5号車)には、付随車にパンタグラフが設置されていて、鉄道車両としては珍しいものを見ることができる。現在8両編成8本と、10両編成12本が活躍しており、編成表は以下のとおりである。赤字で示した場所は10両編成化時に新造された車両である。なお、10両編成は今後も増備され、8両編成が減少する予定である。

●が電動車
●が電動車

機器類

 主電動機は小田急伝統の三菱製である(後述)。この3000形は増備されていく上で、2種類の電動機が登場することになる(混載している編成はない)。ただし、補助電源装置は次車数に限らず同じものである。パンタグラフはシングルアーム方式で、他形式と同じPT-7100型を採用している。8000形や1000形とは台座の形状が違うため、別物を付けているように見えるが同じものである。クーラーは全編成がCPU-710型を使用している。行先表示器は3色LED式で、7次車以降はフルカラーLED式となっていて、側面幕は速度が50キロ以上に上がると消えるようになっている。小田急では回送や試運転表示も50キロ以上になると消える仕組みとなっていて、業務用幕が走行中に消える珍しい電車となっている。

登場後の改造など

 2009年頃からは小田急開業80周年を記念し、全編成に対して新しい会社ロゴマークが帯の上と前面に貼られている。2016年頃からは千代田線直通延長と複々線完成に伴い、全編成で行先表示器の表示方法が更新された。これにより「各停」は「各駅停車」になり、書体も明朝体からゴシック体に改められた。同時に1次車、2次車の一部の編成において行先表示器がフルカラーLED化された。2018年頃からは4次車以降の編成を対象に全ドア上にLCDの2画面化が行われている。これによりドアチャイムも変更され、JRの3点式チャイムになっている。2010年頃に6両編成だった3278編成以降において、10両編成化が行われた。2017年には8両編成も7本が10両編成化されており、新宿~本厚木間の各駅停車の一部が10両編成となっている。一部の編成は同時に帯色の変更がされており、インペリアルブルーに変更されたものもあれば、ハワイアンブルーのままの編成もある。なお、6両編成からの改造車(3091~3095編成)においては、改造時に電連とブレーキ読み替え装置を撤去している。10両編成の改造車においては、検査周期を合わせるため、車番が後ろの編成から順に改造しており、編成が増えるにつれ車体が古くなっていくE231系500番台に次ぐ2例目で、とても珍しい編成体制である。

編成ごとの概要

3651編成(8両編成)

 3000形の3次車で8両編成のトップナンバーである。1000形の1551、1552編成を置き換えた。2017年には沿線火災で屋根が燃えてしまい、1年ほど休車したが、現在は復帰している。グリーンマックスが8両編成の3000形を行先点灯式で製品化しているモデル編成である。

3652編成(8両編成)

 3000形の3次車で3651編成と同形態である。1000形の1553、1554編成を置き換えた。

3653編成(8両編成)

 3000形の3次車で3651編成と同形態である。1000形の1555、1556編成を置き換えた。

3654編成(8両編成)

 3000形の4次車である。4000形の4053、4057編成を置き換えた。現役の8両編成の中で、唯一帯色がインペリアルブルーに変更されている編成である。この編成から車内ドア上にLCDが設置されているが、各ドア上ではなく、3次車のように1つおきに取り付けられている。また、走行中に側面方向幕が消えるのはこの4次車以降で採用されたシステムだが、後に既存車、他形式にも反映された。

3655編成(8両編成)

 3000形の4次車で3654編成と同形態である。4000形の4054、4056編成を置き換えた。全ドア上が2画面LCDに交換され、ドアチャイムもJRと同じ3点式チャイムになっている。

3656編成(8両編成)

 3000形の4次車で3654編成と同形態である。4000形の4052、4058編成を置き換えた。

3657編成(8両編成)

 3000形の4次車で3654編成と同形態である。4000形の4051、4055編成を置き換えた。

3658編成(8両編成)

 3000形の5次車、9000形の9005、9006編成を置き換えた。試験的に取り付けられていたLCDは本格採用となり、全ドア上に設置されることとなった。現在ではLCDは2画面化されている。以上の観点から6次車と同仕様になっているため、区別がつかなくなっている。

3081編成(10両編成)

 3000形の7次車で、元3665編成に10次車2両を組み込んで10両化した編成である。主電動機は8両編成時代に交換済みであり、10両化の際に帯色とLCDが2画面化されている。組み込まれた10次車は9次車と仕様は変更ないが、車内照明がLED化されており、さらには車端部の優先席の照明の色に変更がある。8000形の8055編成で試験的に行われたものが実用化されている。

3082編成(10両編成)

 3000形の7次車で、元3664編成に10次車2両を組み込んで10両化した編成である。3081編成と同形態である。グリーンマックスが3080番台の10両編成を模型化した際のモデル編成である。

3083編成(10両編成)

 3000形の6次車で、元3663編成に10次車2両を組み込んで10両化した編成である。3080番台の3色LED車で唯一優先席の手すりの数が違う編成である。10両化した際に主電動機が全密閉式に交換され、さらに車内のLCDが2画面化され、帯色がインペリアルブルーに変更されているが、行先表示器は交換されず、新造した2両だけ異彩を放っている。

3084編成(10両編成)

 3000形の6次車で、元3662編成に10次車2両を組み込んで10両化した編成である。3083編成のように主電動機は交換されなかったが、帯色とLCDの交換は行われている。

3085編成(10両編成)

 3000形の6次車で、元3661編成に10次車2両を組み込んで10両化した編成である。9000形の9009、9007編成を置き換えた。3084編成と同形態である。3661編成時代には開業80周年を記念して電車デザインコンテストのラッピングが施されたことがあり、3000形の8両編成で唯一車体広告をした経歴を持つ編成である。

3086編成(10両編成)

 3000形の6次車で、元3660編成に10次車2両を組み込んで10両化した編成である。9000形の9003、9004編成を置き換えた。3084編成と同形態である。

3087編成(10両編成)

 3000形の5次車で、元3659編成に10次車2両を組み込んで10両化した編成である。9000形の9002、9008編成を置き換えた。3084編成と同形態である。

3091編成(10両編成)

 3000形の8次車で、元3280編成に9次車4両を組み込んで10両化した編成である。8次車からはデザインは変わらないものの、強度の見直しを行ったことにより、車端部の窓が開閉できるようになっている。また、スカート端部分の点検蓋が省略されている。6両編成で活躍した期間はわずか4年程度であった。組み込まれた9次車はドア前の床に黄色いブロックが敷かれ、優先席の手すりが黄色くなり、手すり全体が丸みを帯びている。それ以外には特に差はない。なお、帯色や車内LCDの変更はされておらず、初期のLCDを持つ数少ないタイプである。5000形の5252編成を置き換えた。

3092編成(10両編成)

 3000形の8次車で、元3281編成に9次車4両を組み込んで10両化した編成である。5000形の5257編成を置き換えた。3091編成と同形態である。

3093編成(10両編成)

 3000形の8次車で、元3282編成に9次車4両を組み込んで10両化した編成である。過去に藤子不二雄ミュージアムのオープン記念で車体広告をして走った編成である。3091編成と同形態である。6両編成時代では最終編成であったと同時に、3000形の編成単位で作られた最終編成でもあった。

3094編成(10両編成)

 3000形の7次車で、元3278編成に9次車4両を組み込んで10両化した編成である。5000形の5259編成を置き換えた。スカート下部分に点検用蓋があり、車端部の窓が固定化されているのが3093編成までとの差である。

3095編成(10両編成)

 3000形の7次車で、元3279編成に9次車4両を組み込んで10両化した編成である。5000形の5261編成を置き換えた。小田原方面前面の行先表示だけとても明るいのが特徴の編成である。

おわりに

 いかがでしたでしょうか。概要などは6両編成記事に書いてあるので省略しました。6、8、10両編成、3000形の全パターンをご紹介してみました。現在では合計で47編成が在籍していて小田急の最大勢力を誇る形式です。小田急では見慣れた顔で、あまり注目はされませんが、実は珍しい要素も多く、ネタが豊富な形式です。たくさんの新しい要素を取り入れた最初の電車で、さらに編成数も多いため不評もありますが、小田急にとって最重要形式であり、小田急の過去から現在への移り変わりを表している電車なのではないでしょうか。
 3000形ももう登場から20年が経とうとしています。まだ新しい雰囲気が出ていることがすごいですね。ぜひ3000形に乗ったときは車内や車体を細かく見てみてください。きっと様々な違いがもっとたくさん見られるでしょう。

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西谷ԅ( ˘ω˘ ԅ)

アラサー電車オタク\( 'ω' \ )主に撮り鉄を趣味にしています。SNSではブログ更新情報のほか、普段の鉄活についてもつぶやいています\( 'ω' )/

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